このページでは、物流業界の営業活動やデジタルマーケティングの効率化を実現するABMツールについて解説します。
「人手不足」「大きな業務負担」「ニーズの多様化」といった課題があります。ドライバーの不足に注目が集まりがちですが、実際には営業担当スタッフの不足も問題となっています。そのため、業務内容も負担がかつてより重くなりつつあるのです。
また、EC市場の拡大などを背景に、クライアントのニーズが多様化しています。取り扱う荷物の種類や形状、温度管理の要否、配送頻度といった要求が複雑になり、個々の顧客企業に合わせた提案が求められています。限られたリソースの中で、こうした多様なニーズを正確に把握し、効果的な営業活動を行うことが難しくなっている状況です。
ABMツールは、個々の担当者ではなく「企業(アカウント)」単位でアプローチする手法を支援します。物流業界では、顧客ニーズが企業ごとに大きく異なるため、このアプローチが適しています。
ABMツールを活用することにより、自社にとって重要度の高い顧客企業を選別し、その企業の業種、規模、過去の取引履歴、潜在的ニーズなどの情報分析が可能です。画一的なアプローチではなく、各企業の課題に合わせた物流ソリューションを提案しやすくなります。
企業単位でのデータ分析に基づいた戦略的なアプローチ立案が可能になり、顧客単価の向上が期待できます。
次に、マーケティング部門と営業部門間での情報共有が円滑になる点です。顧客情報を一元管理し、リアルタイムで共有することで、部門間の連携が強化され、一貫性のあるアプローチが可能になります。また、SFAやMAなどの既存システムと連携させることで、データを補完し合い、営業活動全体の効率化にもつながります。
自社が保有する顧客データと円滑に連携できるか、データのクレンジング機能が充実しているかを確認することが重要です。また、業種・事業規模・拠点情報・利用中の物流サービスなど、物流業界特有の企業情報を付与・分析できる機能があると、より精度の高いターゲティングに役立ちます。
営業部門とマーケティング部門の双方が操作でき、必要な情報を共有しやすいかも選定のポイントです。
宅配便などの輸配送サービスや、ロジスティクスソリューションなどの事業を手掛けている企業による導入事例です。ターゲット企業を抽出したり絞り込みをかけたりする業務に時間がかかっていました。特に、宅配数が多い顧客を開拓するために、効率的な方法を見つける必要に迫られていました。また、アプローチ管理に関しても多くの課題がありました。
ABMツールを導入することで、企業情報収集業務の際の負担が大幅に軽減され、その結果として業務効率化を実現。効果的な営業をかけるための企業情報を活用できるため、分散しているウェブ上の情報を集める業務から解放されました。営業トークにも企業情報を役立てることができるようになりました。
見積もりから実際の物流までの全プロセスを、ワンストップで管理できる物流プラットフォームを展開している企業による事例です。自社でコツコツと作成した営業リストは、時の経過とともに精度が低くなっていくため、結果的に無駄になるようなアプローチが増加していくという課題を抱えていました。新規リードの獲得も困難な状態に。
そこで、データベースの量が強みとなっているABMツールの導入を決定。さまざまな検索軸によるセグメントが可能なところも、選定のポイントとなりました。ツールを使用するようになってから、無駄なアプローチが減少し、さらにアポ獲得率を高めることに成功。将来的には、マーケティングオートメーションツールとの連携も視野に入れ、ツールをさらに効果的に活用していく予定です。
物流ソリューションの提供を行っている物流会社による事例です。顧客情報の管理方法に問題点があると感じていました。各担当者が営業情報を管理している状態で、組織として有効活用できていなかったのです。情報をシェアできる環境を整えることが急務であると考えました。
そこで、マネジメント改革を行うためにABMツールを導入。その結果、企業情報シェアのための環境構築だけでなく、複数の拠点で商談についての情報を、リアルタイムでシェアできる体制が整えられました。担当スタッフが営業日報を上げたその瞬間に、他の拠点にいるスタッフがその内容を確認できるように。最新情報をふまえ、ツール上で戦略を練ることが可能になりました。
ABMツールと一口に言っても、その活用方法は営業部門とマーケティング部門とで異なります。
ここでは、インバウンド営業・アウトバウンド営業それぞれの特性に応じて、アプローチ可能なフェーズや手法に違いのあるツールをご紹介いたします。ツール選びの参考にしてください。