営業チャンス自体を獲得することが難しい不動産業界において、効果的な営業を行うための頼れるシステムであるABMツール。不動産業界に適している理由や導入により得られるメリット、選定のポイント、導入事例などを紹介します。
不動産業界が直面している主な課題として「顧客となる人口が減少していること」「見込み管理・追客営業が容易ではないこと」の2点が挙げられます。まず、人口減少についてですが、縮小傾向が続くことが見込まれるためターゲットとなる顧客層もおのずと少なくなります。可能な限り無駄を省き、ニーズに応じた集客が必要です。
見込み客管理や追客は、主に中小不動産会社にとって深刻です。同じ物件を扱う業界構造であるため、競争が激化しやすい特徴があります。長期的に追客を続けるための手法の構築が欠かせません。
不動産業界では、購入や賃貸の意思決定に関わる関係者が多く、商談単価も高額なため、見込み顧客を精度高く絞り込むことが重要です。ABMツールを活用することで、物件種別・立地ニーズなどの条件に基づいてターゲットを特定し、営業リソースを効率的に配分できます。
これにより、無駄なアプローチを減らし、契約率の向上につなげやすくなります。さらに、顧客データの一元管理により、営業・マーケティング双方の連携も強化できます。
また、問い合わせから契約につなげるためにも、ツールの顧客管理システムを利用したフォローアップも重要です。オフラインおよびオンラインを使い分け、タイムリーな情報提供やきめ細やかなサポートを行うことが可能です。
営業とマーケティングの連携が不充分では、情報のシェアを思うように行えません。ABMツールを導入することで、両者の連携がスムーズになります。商談の進捗状況など、リアルタイムで情報をシェアし、協力体制を構築することが可能です。コンテンツの重複作成なども回避しやすくなります。
マーケティング施策の効果を測定し、その結果を「見える化」できることも、ABMツールの導入により得られるメリットのひとつ。ターゲットの反応をふまえ、次のアプローチに反映させることが可能です。
情報の秘匿性という不動産業界の特性により、営業チャンスを得ることが難しいという課題があります。この課題に対処できるABMツールを選ぶようにしましょう。ターゲット顧客の検索行動のリサーチに基づいてニーズをキャッチした上で営業活動を行える「インテントセールス」のための機能が充実しているものがおすすめです。
自社のマーケティング強化の必要性を感じていた不動産事業者による事例です。デジタルマーケティングの仕組み化が難しく、施策を思うように実施できないという課題を抱えていました。そこで、営業とマーケティングの両部門で顧客インテントを起点としたサイクル構築を試みることに。
ABMツールの導入により、新規顧客の開拓の際だけでなく、既存リードについても、特定のキーワードで検索をかけている企業に絞ってアプローチできるようになります。特定の企業動向をトリガー条件すると、メールやDMでのきめ細やかなアプローチが可能になります。
マンションやビルなどの資産価値を高めるための、総合的な不動産管理サービスを提供している企業による導入事例です。事業活動において、名刺の管理やリモートで仕事を行う際のコミュニケーションの質などに課題があり、それらを改善するためにABMツールの導入を決めました。
その結果、名刺情報の活用の幅を広げ、また、リモートワークの生産性アップを実現することができました。外出先にいる場合にも、スマートフォンでツールにアクセスすれば名刺情報をスピーディーに把握できるため、おのずとリモートワークも円滑に進められるようになったのです。各スタッフの人脈も可視化されるため、営業活動をより戦略的に行えるようにもなりました。
ABMツールと一口に言っても、その活用方法は営業部門とマーケティング部門とで異なります。
ここでは、インバウンド営業・アウトバウンド営業それぞれの特性に応じて、アプローチ可能なフェーズや手法に違いのあるツールをご紹介いたします。ツール選びの参考にしてください。