ABMにおいて施策を実行したまま放置すると、成果の要因や改善点が不明確になり、組織としての学習が進みません。計測結果に基づいて仮説を検証し、次なるアクションを修正するPDCAサイクルを回すプロセスが不可欠です。
本記事ではABMにおけるPDCAについて解説します
一般的なマーケティングのPDCAとABMのPDCAとの相違点は、管理単位が個人ではなく企業(アカウント)であることです。アカウント単位で情報を集約し、組織全体の動きを捉える視点が求められます。
Planではターゲットと判定基準を定義し、Doでは接点構築を行い、Checkではアカウントの進捗を確認し、Actで優先順位を更新。週次では戦術レベルの進捗確認を行い、月次では戦略レベルのターゲット見直しを行う運用会議を定例化すると、サイクルが円滑に機能します。
PDCAを機能させるためには、実行前のPlanフェーズで次の項目を順に定義しておきます。目的(新規開拓か既存拡大か)、理想的な顧客像(ICP)の仮説、ターゲットアカウントの選定と優先順位付け、購買委員会(関与者)の仮説、ステージ定義(未接触・関与・商談化など)、およびKPI設定です。
KPI設定では、エンゲージメントなどの先行指標と、パイプラインなどの後続指標を明確に区分しましょう。判定基準が曖昧な状態で実行に移ると、後の工程で効果測定や改善策の検討ができず、プロジェクトが停滞する要因となります。
実行フェーズである「Do」では、広告、コンテンツ、ウェビナー、ウェブサイト体験、アウトリーチなどの施策を、アカウントの検討ステージに合わせて出し分けます。アカウントが抱える課題仮説に基づいたパーソナライズを行うことで、関連性を高めて注意を引く狙いです。
マーケティング施策によって特定のアカウントからシグナル(反応)が検知された際、誰がどのようなアクションを起こすかを事前に営業部門と合意しておく必要があります。次なるアクションまで設計に含めることで、機会損失を防ぐことが可能です。
Checkのフェーズで計測すべき指標は3つの階層に分類されます。1つ目はメール開封やクリックなどの活動・到達指標、2つ目はアカウント単位での関与の深さや広さを示すエンゲージメント指標、3つ目は商談化やパイプライン、売上への貢献を示すビジネス成果指標です。
先行指標であるエンゲージメントの上昇が、後続指標である商談化率やパイプライン創出にどうつながっているかを確認します。特定の指標だけに偏らず、全体像を把握するとともに、非ABM対象群と比較することで施策の有効性を検証します。
成果が芳しくない場合の改善策は、優先順位に従って検討します。まずはターゲット選定が適切かを見直し、次にメッセージや課題仮説の整合性を確認。チャネルの配分や頻度を調整し、営業アクションの内容まで精査します。
数値が悪化した際には、安易に施策量だけを増やす対応は避けるべきです。前提となっている仮説が実態と乖離している可能性を疑い、ターゲットやメッセージという根本的な要素から順に仮説を更新することで、実効性のある改善につながります。
ABMツールは、PDCAサイクルを加速させるための基盤として機能します。CRM、MA、広告、ウェブサイトなどの分散したデータをアカウント単位で統合。エンゲージメント状況やカスタマージャーニーを可視化することができます。
どの施策がパイプライン創出に寄与したかという影響分析(アトリビューション)を支援する機能も重要です。ツールを導入するだけで成果が出るわけではなく、設計に基づいた運用を行うことで、ボトルネックの特定や意思決定の迅速化に寄与します。
ABMのPDCAはアカウントを起点に回します。Planで判定基準を明確にし、Checkで指標間のつながりを把握し、Actで優先順位に基づいて仮説を更新。ツール活用により、データの統合と可視化を効率化し、サイクルの回転数を上げることが成功への近道です。
ABMツールと一口に言っても、その活用方法は営業部門とマーケティング部門とで異なります。
ここでは、インバウンド営業・アウトバウンド営業それぞれの特性に応じて、アプローチ可能なフェーズや手法に違いのあるツールをご紹介いたします。ツール選びの参考にしてください。