ABMツールを導入する際、いきなり全社展開を目指すと、これまでの業務フローからの変化に対する社内の反発や、現場の業務負荷が大きくなるリスクがあります。さらに、ツールを活用した新しい仕組みが定着し、実際に成果が出るまでには一定の期間を要します。
そのため、最初から大規模に始めるのではなく、一部のターゲットアカウントに絞って試験的に導入する「スモールスタート」が強く推奨されます。小さく始めてPDCAサイクルを素早く回し、検証と改善を繰り返すアプローチをとることで、失敗時のリスクを最小限に抑えることが可能です。
まずは限定的な範囲で運用を軌道に乗せ、着実に成果とノウハウを蓄積することが、最終的な成功とスムーズな全社展開への近道となります。
ABMの第一歩は、自社の戦略に合致するごく少数の企業にターゲットを絞り込むことです。過去の取引データや将来の可能性(LTVなど)に基づき、明確な基準で客観的に優良な対象アカウントを選定します。
ターゲット企業内の決裁者や実務担当者など、関与するキーパーソンを特定します。あらゆるデータから彼らの現在の関心事や抱えている課題(インサイト)を深く理解します。
収集したインサイトを基に、ターゲット企業だけに響くよう個別化(パーソナライズ)されたコンテンツを作成し、適切なチャネルとタイミングを組み合わせてアプローチします。
マーケティング部門が顧客の関心度を高め、営業部門が適切なタイミングで提案活動を行います。両部門が同じデータを共有し、リアルタイムに連携して動くことが成功の鍵です。
ターゲットアカウントからの商談化率や契約単価などをKPIに設定し、投下コストに対する売上増加(ROI)を測定します。効果を早期に可視化し、次の改善策や全社展開に向けた客観的な判断材料とします。
スモールスタートを成功させるための具体的な最小構成のイメージは以下の通りです。
このように機能を絞り込み、定量・定性の両面で効果を見ながら着実に進めることが重要です。
ABM導入時は、ターゲットの絞り込み不足による全方位ABM、マーケティング部門のみでの推進による営業連携不全、ツール導入自体が目的化するといったリスクに注意が必要です。
これらを防ぎ成功に導くカギは、経営層の強いコミットメントにあります。経営層がABMの重要性を理解し、明確な基準でターゲットを絞り込む決断を下すとともに、組織の壁を越えて現場の営業部門を根気強く支援し続けることが不可欠です。
ABMは一気にすべてを変えようとせず、特定のターゲットに絞ったスモールスタートで「小さな成功」を生み出し、ROIを可視化することが重要です。この実績を推進力とし、確実な全社展開を目指しましょう。
ABMツールと一口に言っても、その活用方法は営業部門とマーケティング部門とで異なります。
ここでは、インバウンド営業・アウトバウンド営業それぞれの特性に応じて、アプローチ可能なフェーズや手法に違いのあるツールをご紹介いたします。ツール選びの参考にしてください。