「担当者に響いても決裁者に届かない」といった、BtoB営業の代表的な悩みを、原因と解決策の両面から整理します。
決裁者とは、組織の最終的な意思決定を行う権限を持つ人物のことで、社内規定の職務権限表などで定義されています。「決裁者」が最終判断を下すのに対し、「承認者」は稟議の途中工程を承認する人、「決済者」は金銭的な支払い処理を行う人と明確な違いがあります。また、キーマンは必ずしも最上位の役職とは限らず、現場責任者や情シス責任者など選定に強い影響力を持つ人物も含まれます。BtoB購買では1件に平均6〜10名が関与するため、決裁者1人を狙うのではなく、バイインググループ全体を動かす視点が重要です。
参照元:ferretソリューション|BtoB購買プロセスとは?5つの段階と各段階で成果を出すマーケティング施策を解説(https://sol.ferret-one.com/blog/btob-purchasing-process)
決裁者が誰かは、企業規模によって大きく異なります。中小企業であれば社長、大企業であれば部門長や執行役員が担うのが一般的です。商談を担当者とだけ進めており、相手企業の組織図や稟議ルートを把握できていないと、決裁者に提案が届きません。また、名刺交換の履歴やCRM上に「役職・部署・過去の接点」が整理されていない状態では、キーマンの特定が属人化してしまいます。
決裁プロセスには、「ワークフロー」や「稟議書」といった手段(ツール)と、「検討プロジェクト」「経営会議」「取締役会」といった方法(会議体)が存在します。経営会議の開催頻度や日程を聞き出せていないと、上期に間に合うはずの受注が下期にずれ込むなどのタイミングロスが発生します。さらに、半年〜1年前に行われる予算取りに載っていない提案は、決裁ルートに乗る前に止まってしまいます。
役割によって求める情報は異なります。使用者は機能や操作性を重視しますが、決裁者は事業へのインパクト、リスク、自社の戦略との整合性を注視します。そのため、決裁者に機能一覧が書かれた提案書をそのまま渡しても、費用対効果(ROI)やリスク軽減のメリットが伝わらず、稟議で落とされてしまいます。「何ができるか」ではなく「何が変わるか(売上・コスト・リスク)」を役職別に出し分ける必要があります。
既に現場担当者と接点があるにもかかわらず、担当者を無視して決裁者に直接連絡をすると、社内の関係性を壊してしまいます。「経営陣がまた現場の苦労も知らずに導入を決めた」という反発を招き、導入後の定着にも悪影響を及ぼしかねません。現場の協力を得ながら、決裁者層へとアプローチを広げていくのが、長期的に成果を出すやり方です。
バイインググループを構成する使用者、影響者、決裁者、買い手、ゲートキーパー(情報の取次役)、そして日本の稟議文化で登場する承認者は、それぞれ関心事(機能、価格、ROI、事業インパクト、コンプライアンスリスク)が異なります。この違いを踏まえ、現場向けには機能詳細の資料を、決裁者向けにはROIの試算や事業へのインパクトをまとめた1枚のサマリーを分けて用意しましょう。稟議が止まりそうなタイミングで、決裁者向けのサマリーと導入事例を追加で投下する運用に落とし込むことが効果的です。
決裁者層に届きやすいのは、信頼できる第三者からの紹介です。この紹介を偶然に頼るのではなく、仕組みとして設計しましょう。例えば、商談後のフローにおいて、既存顧客に「業界内で困っていそうな会社」を3社ヒアリングする仕組みを組み込みます。また、士業やコンサルタント、SIerなどのパートナー企業と、相互に紹介し合える協力関係を築くことも重要です。
機能紹介ではなく、「業界調査レポート」や「同業他社のベンチマーク」「規制動向」など、経営判断の材料となるコンテンツを用意しましょう。ウェビナーであれば、CxO同士の対談形式やクローズドセッションなど、「経営層×経営層」のテーマ設計にすることで決裁者層の来場率が高まります。さらに、資料ダウンロード後は、役職に応じてフォローの内容を出し分けることが大切です。
料金ページや比較ページを複数の担当者が短期間に閲覧したり、競合の検索が急増したり、同一企業の異なる部署からアクセスが発生したりといった動きは、「バイインググループ形成のサイン」です。このサインを検知したタイミングで、ABM広告、個別メール、営業からの直接接触を重ねましょう。「点」の営業から「面」の検知に切り替えることで、アプローチの精度が飛躍的に向上します。
担当者止まりの悩みを解決する基盤として、ABMツールの活用が非常に有効です。本記事のメインKWでもある「ABMツール」を導入することで、以下のように決裁者アプローチを仕組み化できます。
決裁者・キーマンにアプローチできない原因は、「誰が決裁者か特定できていない」「決裁プロセスを掴めていない」「現場向けメッセージを流用している」といった構造的な問題にあります。役割別のメッセージ設計とインテントデータの検知を仕組みに落とし込むことで解決に近づき、その基盤としてABMツールの活用が有効です。
ABMツールと一口に言っても、その活用方法は営業部門とマーケティング部門とで異なります。
ここでは、インバウンド営業・アウトバウンド営業それぞれの特性に応じて、アプローチ可能なフェーズや手法に違いのあるツールをご紹介いたします。ツール選びの参考にしてください。